素人レンズ教室-その14
 
50mm超大口径レンズ・日独対決 (2) 原色花壇対決
 


麗子先生 : みなさん、おはよう。
タマラ先生: 
グーテン・モルゲン
みんな  :
 おはようございまーす。 グーテン・モルゲン
麗子先生 :
 昨日の第一ラウンドはドイツチームの勝ちでした。
         
ノクチルックスf1.0が近代レンズというハンディキャップはありましたが、周辺まで見事な描写でしたね。
タマラ先生: でも40年近い年代の差を感じさせない日本の大口径レンズの性能は見事だと思います。
         特に
キャノンf1.2は周辺までノクチルックスに肉薄する性能で、今の中古価格が信じられません。
はるか  : でもはっきり写るだけだったら、最新のASPHレンズのほうがよいのではないですか?
        やはりオールドレンズならではの魅力がないと駄目だと思います。
アリーナ : そうね。私も同じ意見だわ。
        絞った画像だけでは全く判断できないわ。
ジロー  : 先生、早く開放で勝負しようよ。
麗子先生: わかったわ。
        ではみんな校庭の花壇の花を開放で撮ってきてね。バックのボケがよく分かるようにお願いね。
みんな  : 了解。

(30分後)

みんな  : ただいまー。
麗子先生: はやかったわね。じゃあ早速画像を並べて見ましょうね。
        前回のは少し全体画像のサイズが小さいという意見もあったので、少し大きくしましょう。

 
全景
日本側レンズ団
Zunow 50mm f1.1/1953 Nikkor 50mm f1.1/1956 Fujinon 50mmf1.2/1954
Canon 50mmf1.2/1956 MS-Optical 50mmf1.3/2006
ドイツ側レンズ団
Xenon 50mm f0.95/1975-6? Noctilux 50mm f1.0/1994 Noctilux 50mm f1.2/1966
Kino-Plasmat 50mm f1.5/1930-40? ゲストDe Oude Delft 50mm f0.75

麗子先生 : じゃあ、始めに第一印象の「クリア感」と「立体感」「その他の特徴」から行きましょう。
タマラ先生: 
「クリア感」はどのレンズが目立ちますか?
カール  :
 日本のレンズは、Zunowを除いてどれも良いですね。ドイツではf1.0とf1.2のノクチだと思います。
麗子先生 :
 どう、ジローとはるかは?
ジロー  : 同感。
はるか  : 私も同じです。やはり、戦後のレンズはどれもしっかり作られているわね。

タマラ先生: では、「立体感」はどうかしら?
ジロー  : 日本はやっぱりZUNOWだね。
はるか  : ドイツでは、Kino-Plasmat。それにDelftのf0.75も凄いわ。
アリーナ : 私も同じ意見。それにNoctiluxのf1.2も優れているように思います。
麗子先生: あら、上記と入れ替わっちゃったわね。こちらは、より昔のレンズに特徴がみられるようね。

タマラ先生: 「その他の特徴」はどう?
はるか  : 当たり前ですけど、Kino-Plasmatの最大の特徴である周辺のぐるぐるが目立ちます。
カール  : それだったら、Kinoほどではないけど、Xenon、Zunow、Nikkorにも同様の傾向が見られるよ。
ジロー  : このグルグルは、通常のレンズ評価には当てはまらない
オールドレンズ・ファンならではの価値観かもしれないね。
        これも立体感に関係しているのかな?


 
Zunow 50mm f1.1/1953 Nikkor 50mm f1.1 Fujinon 50mmf1.2 Canon 50mmf1.2 MS-Optical 50mmf1.3 Xenon 50mm f0.95 Noctilux 50mm f1.0 Noctilux 50mm f1.2 Kino-Plasmat 50mm f1.5 De Oude Delft 50mm f0.75
レンズタイプ ゾナー ガウス ゾナー ガウス ゾナー ガウス ガウス ガウス キノ型 ゾナー
クリア感
クリア ⇔ ソフト
  1  ⇔  5
  4   2   1.5   1.5    1.5   2     1      1     4     5
立体感
強い  ⇔ 弱い
  1   ⇔  5
  2   4   4   4    4   4    4      3    1.5     2

タマラ先生: この点数表を見ると、Noctilux-f1.2がバランスよく見えるわね。
        それ以外は性格は大きく2つ異なるけど、全体評価としては今のところあまり変わらないわ。
麗子先生 : じゃあ、細部も見てみましょう。

 
全景
日本側レンズ団
Zunow 50mm f1.1/1953 Nikkor 50mm f1.1/1956 Fujinon 50mmf1.2/1954
Canon 50mmf1.2/1956 MS-Optical 50mmf1.3/2006
ドイツ側レンズ団
Xenon 50mm f0.95/1975-6? Noctilux 50mm f1.0/1994 Noctilux 50mm f1.2/1966
Kino-Plasmat 50mm f1.5/1930-40? ゲストDe Oude Delft 50mm f0.75/???

タマラ先生: 個性がよく出ているわねえ。
麗子先生 : ピント部分とボケ部分の特徴をまとめた方がよいかも知れませんね。
         はい、ジロー!
ジロー   : もういつも僕なんだから、、、はい、はい、じゃあみんなの意見を聞かせてくださーい。

 (わいわい、がやがや)

ジロー   : はい、できました。


 
Zunow 50mm f1.1/1953 Nikkor 50mm f1.1 Fujinon 50mmf1.2 Canon 50mmf1.2 MS-Optical 50mmf1.3 Xenon 50mm f0.95 Noctilux 50mm f1.0 Noctilux 50mm f1.2 Kino-Plasmat 50mm f1.5 De Oude Delft 50mm f0.75
レンズタイプ ゾナー ガウス ゾナー ガウス ゾナー ガウス ガウス ガウス キノ型 ゾナー
中心ピント画像
シャープ⇔ソフト
  1 ⇔ 5
  5   2   1.5   1    2   3     2     1.5     4     5
中心ピント画像
滲みなし⇔滲み強い
  1  ⇔ 5
  4   3   2   1.5    2   2    3      1     4     2
直後のボケ
素直 ⇔ 2線ボケ
  1 ⇔  5
  3  1.5   5   5    3   2    4      1     4     1

はるか  : 結構バラバラねえ。
        仮に数字が少ない方が良好な画像だとすると、
Noctilux-f1.2が圧倒的だわ。
カール  : 一方でNoctilux-f1.0の方は予想外だね。
        絞った画像ではあれほど圧倒していたのに、完全にf1.2にその座を譲った感じ。
        すべて球面でf1.0の難しさがわかるね。
        今回はNikkorも良い数字だね。ピント画像がややソフトになってしまっているのが残念。

アリーナ : 傾向的に多いのは、「ピント部分はシャープに描写するけれど、直後のボケが2線ボケ」になってしまっているタイプね。

タマラ先生: そうね。この傾向は少し前までのガウス型の特徴としてよく知られているけど、Fujinonのようにゾナー型でも出ているわね。
        それだけ大口径でピント部分をシャープにするのに苦心したんだと思うわ。

はるか  : もう一つは、ZunowやKino-Plasmatのように全体的に数値が大きいタイプね。

麗子先生: これは意図的にそうしたのではないでしょうね。
        どちらもシャープな画像を目指したのでしょうけど、時代的にさらに難しかったのだと思うわ。
タマラ先生:優劣の付け方がとても難しいけど、一応「ピント部分を中心に」見て一般的な良像という基準で順位をつけたわ。

        
①noctilux-f1.2 ②Canon-f1.2 ③Fujinon-f1.2 ④Noctilux-f1.0 ⑤MS-OPTICAL f1.3 ⑥Nikkor f1.1 ⑦Xenon f0.95 
        ⑧Delft f0.75 ⑨Zunow f1.1 ⑩Kino-Plasmat f1.5

はるか  :
 私は少し違和感あります。
        ピント部分だけでなく、
「ボケも含めた全体」の雰囲気で評価すると、こんな感じだと思います。

        ①noctilux-f1.2 ②Nikkor f1.1 ③Xenon f0.95 ④MS-OPTICAL f1.3 ⑤Noctilux-f1.0 ⑥Delft f0.75 ⑦Zunow f1.1 
        ⑧Kino-Plasmat f1.5 ⑨Fujinon-f1.2 ⑩Canon-f1.2


ジロー  : うわあ、全然違うね。
麗子先生: 困ったわね。そもそも視点が違うから判断のしようがないわ。
        これは、ちょっと保留します。
タマラ先生: では、さらに後方のボケ画像を詳細に見てみましょう。

 
全景
日本側レンズ団
Zunow 50mm f1.1/1953 Nikkor 50mm f1.1/1956 Fujinon 50mmf1.2/1954
Canon 50mmf1.2/1956 MS-Optical 50mmf1.3/2006
ドイツ側レンズ団
Xenon 50mm f0.95/1975-6? Noctilux 50mm f1.0/1994 Noctilux 50mm f1.2/1966
Kino-Plasmat 50mm f1.5/1930-40? ゲストDe Oude Delft 50mm f0.75/

ジロー  : やっぱり、Noctilux-f1.2は強いね。
はるか  : 本当、光ボケの輪郭が全くないわ。さすが非球面の面目ね。

カール  : MS-OPTICAL-f1.3もかなり均一にボケているよ。
        この輪郭が連続すると2線ボケに繋がっていくわけだから、この両レンズの後方のボケはかなりきれいだということだね。
アリーナ : あとは、Noctilux-f1.0、Xenon、Fujinonも良いわね。
        Delftは光点自体が溶けちゃっているみたいだから、番外ですね。
        でも、さすがにf0.75のボケは違うわ。
タマラ先生: じゃあ、遠い後方のボケ味の順位をつけるわね。

        
①Noctilux-f1.2 ②Ms-Optical f1.3 ③Xenon f0.95 ④Noctilux-f1.0 ⑤Fujinon f1.2 ⑥Nikkor f1.1 ⑦Canon f1.2
        ⑧Zunow f1.1 ⑨Kino-Plasmat F1.5 番外 Delft f0.75


麗子先生 :
 異論ないです。

ジロー  : あーあ、またドイツに負けちゃったかあ。くやしいなあ。

タマラ先生: ジロー君、そんなことはないわよ。
         確かに第二ラウンドでは
Noctilux-f1.2の素晴らしさが突出していたけど、一方で設計の新しいNoctilux-f1.0はそれほどでもなかったわ。
         それに引き換え、MS-OPTICALを始めとして他の
日本のレンズは大健闘したと思う。
         さらに
Zunowレンズの立体感は、Kino-Plasmatのグルグルと並んで特筆すべきだわ。
         だから、わたしは今回の対決は
「引き分け」にしたいと思います。
         いかがですか、麗子先生?
麗子先生 : わかりました。
         ジロー、はるか、よかったわね。
         これで、最終ラウンドで追いつける可能性も出てきたわよ。

はるか  : ジロー、次は絶対勝とうね。
ジロー  : 任せとけ!

 (第二ラウンド 終了。 次回はいよいよ最終ラウンド
「桜対決」です。)


 
 
 
 
Lens Kyoshitsu Top